このたび、令和2年6月18日付で、旭川医科大学内科学講座 病体代謝・消化器・血液腫瘍制御内科学分野(消化器・内視鏡学部門)の教授を拝命いたしました。この部門は、消化器病学および内視鏡学を専門とした内科学の部門として創設され、私が最初の教授を務めさせて頂くことになりました。非常に光栄でありますとともに、身の引き締まる思いです。また、私を育ててくださいました学内外の諸先輩の皆様、さらには日々の診療・教育・研究をともにしている同僚の皆様にこの場をお借りし深く感謝申し上げます。

消化器・内視鏡学部門の最も重要な役割は地域から世界までを見据えた消化器医療への貢献であると考えております。これを達成するために、旭川医大の消化器内科が一体となって診療連携、最新消化器専門診療、国際化を重視したハイレベルな診療を展開したいと思います。診療連携については、患者の病態に合わせ相互に連携した診療を行うとともに、出張医師による診療やICT・IoTシステムを用いた遠隔医療などを活用し、旭川市や道東・道北の関連病院と積極的に連携したいと思います。消化器専門診療については、これまで実施してきた消化器病診療に加え、最新の内視鏡診療技術の積極的な導入、普及、標準化を進めていきます。最近、8K高精細画像を用いた消化管内視鏡検査を世界で初めて実施し、高精細の画像が簡便に得られることを実証いたしました。また、AI支援システムによる内視鏡診療技術の開発にも参加しており、このような最先端技術の提供と積極的な診療連携を軸とした消化器診療システムの構築を目指します。

教育に関しては、医療のあらゆる場面に対応できる臨床医育成を目指していきます。地域医療と専門診療をバランスよく経験させながら、一般内科を基盤として、消化器内科の専門知識・技術の習得を図るとともに、上級医のサポートの下、早い段階から主治医を任せることで責任ある立場で患者に向き合うように指導いたします。また、常に臨床上の問題点を意識してそれを解決する能力を持ち、さらには新規治療法・診療技術の開発へと結びつける意欲を持った医師を育成します。

研究に関しては、日常診療を通して感じた現行の医学・医療の問題点を研究テーマとして、多施設臨床研究によりエビデンスを構築し、その成果を英文論文、治療指針、ガイドラインなどを通じ提言してまいりました。現在、多数の消化器癌や炎症性腸疾患の多施設共同研究を主導・参加しており、今後はさらに多くの臨床研究を進めていきたいと思います。また、臨床研究では解決が難しいテーマについては、一度基礎研究へと落とし込み、トランスレーショナルリサーチ、臨床試験へと繋げ、論文化や特許取得を経て、最終的には日常診療に還元していきたいと思います。このようなコンセプトのもと、難病やがんの病態解明や新薬候補分子の発見と実用化へ向けた研究、血液や尿などの体液を用いたがん遺伝子診断などの研究を進めており、これらの成果は英文誌への論文発表ならびに特許申請・取得へと繋がっております。中でも、細菌由来活性分子を用いた難病や癌の創薬研究については、多くの科研費やAMED助成を受け、旭川から世界に発信する新薬開発を目指し、第I、II相試験を予定しております。また、一連の研究内容は大学院生の研究テーマになるとともに、海外との多くの学術交流を生み出し、国際研究協力を展開するとともに多くの留学生を排出しております。今後も国際協力を推進していき、国際人の育成に努めます。

これからも、教室員が一丸となって、地域医療から国際的医療・医学に貢献できるよう邁進していく所存でございます。皆様、ご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

教授 藤谷幹浩

旭川医科大学 内科学講座
消化器内科学分野

(兼務)旭川医科大学 消化器先端医学講座

旭川医科大学 消化器疾患病態学講座

〒078-8510 北海道旭川市緑が丘東2条1丁目1-1
TEL 0166-68-2462 / FAX 0166-68-2469

Professor Mikihiro Fujiya

Division of Gastroenterology, Department of Internal Medicine, Asahikawa Medical University

       University2-1-1-1, Midorigaoka-Higashi, Asahikawa, Hokkaido, 078-8510, Japan
TEL 81-0166-68-2462 / FAX 81-0166-68-2469